息子と受験と狂想曲

受験と教育よもやま話

自分語りその2 環境って大事なんだと心底思った予備校時代

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全落ちから予備校へ

大学受験の全落ちから浪人生となった春、

私は自宅から一番近い、

1クラス15人ほどの小さな予備校に通いました。

私はそこで初めて、勉強に真剣に向き合う事になるのでした。

 

その予備校では、

課題をさぼると、講師から皆の前で叱られます。

 

「しなくてはならない事をしないのは、

恥ずかしい事だと思いなさい!」

 

なまくらな私は、1度だけそう叱られました。

確か…英単語を覚えていかなかったのではなかったか。

 

暗記が大の苦手な私には英単語と漢字は苦痛の極みで、

いつも泣きながら覚えたものでした。

共通点は「果てしない」ということ。

一体どれだけ覚えたら終わるんだろうか?

いつになったら終着点にたどり着くんだろうか?

それが見えないとやる気にならない。

 

それでも先生に叱られると思うと、

その恥ずかしさから必死に覚えようとするものです。

そうしている間に成績も上がり、

できるようになれば調子が付くもので、

叱られなくても自分から覚えるようになります。

 

本来ならこうした習慣は、

小学生や、遅くとも中学生の間に身に付けておくべきなのですが、

私の場合、そこがすっぽりと抜け落ちていたのです。

いったい私は何をしていたのかと、情けない気持ちになるばかりです。

 

なにはともあれ、先生方の叱咤のおかげで、

怠け続けた私でも、第一志望の大学に合格できたのです。

本当に感謝しかありません。

 

 大学でのカルチャーショック

意気揚々と入学した大学でしたが、

そこで様々なカルチャーショックを受けることになりました。

 

合格はできたものの、

なにせ1年間しかまともに勉強をしてないのです。

はっきり言えば、

その大学に焦点を当てた受験勉強を叩き込んだだけです。

小学校からコツコツと勉強を続けてきた人には敵わない。

知識の深さと量が全く違います。

 

「私は何も知らない、何もできない人間なんだなぁ…」

そんな薄っすらとした絶望感を感じました。

 

しかしその反面、

これからはしっかりしなくてはと、

前向きな気持ちにもなれました。

自分よりも優秀な人がたくさんいる環境にいると、

刺激をたくさんもらえます。

 

絶望感と希望。

そんな相反する気持ちを抱えて大学生活を送ることになるのですが、

私は母校の大学が大好きで、

そこを卒業できたことは、今でも誇りに思っています。

 

怠けても叱らない先生

思ってみれば小学校から高校まで、

学校の先生が勉強を怠けたことを理由に、

児童生徒を叱っているのを見たことがありませんでした。

 

小学生は皆真面目ですから、

宿題を忘れることはめったにありませんが、

それでもたまに誰かが忘れてきます。

しかし先生は叱りません。

居残ってさせることもありません。

 

中学になっても状況は同じで、

やはり先生が叱ることはありませんでした。

誰に対しても一様に。

 

公立の学校ではこれが普通なのだと、長い間思っていました。

ところが我が子が地元の公立小学校に通い始めて、

それが普通ではなかったことを知りました。

 

子どもの学校では先生は皆厳しく、

宿題を忘れてくると、放課後に残ってしなくてはなりませんでした。

授業中の言葉使いや態度も、厳しく指導しておられました。

たまに中学受験で扱うような問題を紹介したり、

過度な競争はありませんが、

適度な刺激を与えてくれていたように思います。

 

これはどの先生でも同じで、

学校としての方針だったのだと思います。

私が通った小学校のように、

先生一人一人が勝手に動いているという状態とは大違いです。

 

学校は違えど、同じ公立の小学校です。

一体この差は何なのでしょうか?

 時代が違う、ただそれだけのことなのでしょうか?

 

環境は大事

自分の怠けを人のせいにするわけではありませんが、

根っからの秀才や天才は別として、

勉強に関して緩い環境に長くいると、普通の子はダメになってしまいます。

 

勉強をする素養があろうとなかろうと、

他に楽しいことがたくさんあれば、

どうしてもそちらに目が行ってしまいます。


しかも中学になると、

勉強ができることがさほど利にもならない、

利になるどころか不利にさえなる場合もあります。


それでもまだ塾に通っていれば、

学校とは別の「塾の文化」を感じることができますが、

「勉強をがんばろう」という雰囲気のない環境で、

一人で勉強を続けるのは容易なことではありません。

 

学校の勉強は辛いし退屈です。

だからこそ強制が必要なのです。

 勉強を長く続けていくにはどうしたらよいのか。

その方法は子供によって様々だと思います。

 

しかし学校でので教授法はただ一つしかありません。

最も標準的な方法で、総ての子供に対応しようとします。

それは仕方のない事なのですが、

もしその方法に合わなかった時は悲惨です。

勉強のできない子というレッテルを貼られて、ほおっておかれます。

 

たとえ塾でも、合わない場合は同じことが起こります。

子どもと塾の相性をはかるのは非常に難しいですが、

ここが一番の要のように思います。

 

小学校からの12年間、

この期間にどれだけコツコツと勉強し続けたか。

それがその子の、

後の人生を決めると言っても過言ではないと思います。

 

大人になっても勉強は続きます。

資格を取ったり検定を受けたり、新しい仕事を覚えたり。

勉強の仕方を知っているというのは、

生涯に於いて非常に大きな武器になるのではないでしょうか。

 

子どもの頃の12年間。

その大事な時期をどのような環境で過ごすのか。

非常に重い責任を、親は背負っているのだと思います 。