最適な学習方法は、子どもの脳の使い方によって違うのかもしれない。「同時処理」と「継時処理」、お子さんはどちらのタイプですか?
集団授業への適応力
学校、塾をはじめ、受験に関係する人は皆、
伸びていくには「素直さ」が必要だとおっしゃる。
教えられた方法を素直に試してみることが大事だという。
正しい意見だと思います。
自分のやり方では上手くいかないのだから、
伝授された方法を試すしかないです。
でも仮に、
教えられた方法が上手く使えなかったら?
どうしてもその方法では理解できなかったら?
それでも、そのたった一つの方法を踏襲するしかないのでしょうか?
認知処理スタイルの違い
「同時処理」と「継時処理」
ある情報を脳で処理する場合、人によってそのスタイルが違うらしい。
例えば 「同時処理」と「継時処理」というものがある。
アメリカの心理学者カウフマン博士夫妻によって提唱されたもので、
2歳半から12歳の子供を対象にした発達検査(K-ABC検査)に用いられます。(現在はK-ABCⅡもあり18歳まで対応できるようです。)
子どもの学習支援を目的にした検査ですが、
大人でも「私はこのタイプだ」という心当たりがあるかもしれません。
1、「同時処理」
・最初に全体を把握し、その後細部の事柄と関連づけていく。
⇒視覚優位に多いと言われている(イコールではない)。
<得意>
空間把握や想像力・直観力に優れているので、
図形や複雑な問題を考えることが得意。
理解が早い。
<苦手>
ゴールが見えないとやる気が出ないので、
暗記やドリル学習は苦手。
2、「継時処理優位」
・時系列に順序良く物事を把握していく。
⇒聴覚優位に多いと言われている(イコールではない)。
<得意>
1つ1つ順番に分析、処理していくのでミスが少なく、暗記やドリル学習が得意。
数理能力が高い傾向にある。
<苦手>
空間認知が不得意なため図形は苦手。
完成型を示されるだけでは課題を処理できない場合がある。
ストリートビューと音声カーナビ
例えば、棚を組み立てる場合。
同時処理優位の人は、
まず完成図を見て、何をどうするかを考えて、組み立て始める。
わからない所は説明書で確認する。
細かな説明を読む前に、とにかくやってみる。
継時処理優位の人は、
一つ一つ説明書で確認しつつ、最初から順番に組み立てる。
我が家の場合は非常にはっきりしていて、
私は「同時処理」「視覚優位」。
夫は「継時処理」「聴覚優位」です。
「棚を組み立てる」は前述の通り、全く正反対の行動をとります。
面白いのは「道順の確認方法」です。
視覚優位か聴覚優位かで地図の把握方法が違います。
私の場合は、一度行った場所なら、
頭の中に立体映像を思い浮かべ、
その中を歩いているような感覚で道を確認します。
夫は音声カーナビそのもの。
道のりを「言葉で」思い出すそうです。
「300mほど行くと左に曲がり、南に向かうと・・・」という具合。
説明してもらう時も、立体か音声か、
お互いにわかりやすい説明方法が違います。
どちらが良い悪いではなく、これは単なる特徴です。
両方の能力をバランスよく使っている人、
どちらかに偏っている人といろいろだそうです。
あなたはどっち?
大ざっぱではありますが、どちらが優位かを調べる方法です。
★「今朝、あなたは何を食べましたか?」
この問いに対して、どのように朝食を思い出しましたか?
テーブルの上に並んだ朝食を映像のように思い浮かべて答えた場合、
「テーブルの上にはパンがあって、ハムエッグもあったなぁ~」と言う感じ。
これは「同時処理優位」の人。
自分の動作を順番に思い出して答えた場合、
「朝起きて、冷蔵庫を開いて、昨日の残りをお皿に入れて・・・」という具合。
これは「継時処理優位」だそうです。
学校と親和性があるのは「継時処理」
学校での授業や教科書は「継時処理」的なものが一般的ではないでしょうか?
学校の授業は1から順番に説明するのが普通です。
全体把握が大事な国語や社会科目でも、
最初から順番に細かく分けて説明していきますね。
でもひょっとするとこの順番をちょっと変えるだけで、
「あぁ、そうなんだ」とわかる子、やる気が出る子がいるかもしれない。
最終的な段階を見せてから最初に戻って、
だからこういうことが必要なんだよと確認しつつまた進む・・・。
そういうアプローチが合う子もいるのではないでしょうか。
それでも学校としては個別に対応するのは難しく、
どうしても全員同じ方法でとなってしまう。
これは学校の責任でも、ましてや教師の責任でもなく、
集団授業である以上は仕方のない事だと思います
「選ぶ」ということ
学習塾がこれだけ繁盛しているのは、
「選ぶことができる」からかもしれません。
受験や学校の成績中心の塾には、
自学自習のもの、集団授業、個別指導など、
目的も形態も色々です。
学校の範囲を超えたものを扱う塾もあり、
数学が多いですが、国語系の読書会や討論を行うような塾もありますね。
種類が多いと、子供の個性に合ったものを選ぶことができます。
学ぶ場所を変えるだけで、できるようになる事もあるのです。
学校の勉強で成果が出ないと「できない子」になってしまいますが、
その子は本当に「できない子」なのでしょうか?
学校現場や家庭での実践
教育現場では学習障害支援のために使われる事が多いですが、
家庭学習の参考になるかもしれません。
詳しい説明や提案などがWEB上にブログやサイトとして公開されています。
その中から一部を紹介したいと思います。
★発達がゆっくりなお子さんを持つお母さんのブログ。
お嬢さんが漢字を覚える時にどうしているのか?と言うお話です。
前頁の「ひらがなの覚え方」も大変興味深い内容です。
★「鹿児島県立皆与志養護学校」の地域支援部が発行している学校便り。
小学校の「時計」の学習ですが、アプローチの仕方が違います。
以下は一部抜粋です。
左が「同時処理」、右が「継時処理」です。
★子供の発達に関するブログ。
継時・同時処理についての詳しい解説が載っています。
★ベネッセ教育総合研究所のレポート。
全7ページあります(少々読みにくいです)
「2E児(才能と障害を併せ持つ子ども)」についてのレポートです。