息子と受験と狂想曲

受験と教育よもやま話

<難関・私立中高一貫校>は誰のためのものなのか? 向く子、向かない子は「自己管理能力」がカギとなる。

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 息子は中学受験をしました。

 

それは私が

大学生の頃から決めていたことです。

将来自分に子供が生まれたら、

絶対に私立の中学に入れようと。

 

なぜそう思ったかという部分については

また後日にするとします。

 

大学受験が終了し、

我が子の受験競争が終わった今、

本当に中学受験をしてよかったのか、

私立中高一貫校とは何だったのか、

もう一度冷静になって振り返ってみたいと思います。

 

はじめに

 

今回、話題とするのは

「難関」と言われる中高一貫校に絞ります。

 

偏差値は地方によって違いますが、

R4偏差値で言いますと、

おおよそ60以上となるでしょうか。

 

ただし医学部志望だけは別とします

昨今の医学部受験は少々特殊。

今回の内容とはまた別な話となります。

 

高偏差値の意味するところ

 

私立中学を目指す目的は様々だと思いますが、

大学受験に有利だろうということが目的なら、

中学受験は慎重に考えた方が良いと思います。

 

特に「難関校」と言われる学校は要注意です。

 

ここに進学して上手くいくのは、

かなり勉強ができるお子さんだけだと思います。

 

「かなり勉強ができる」とは一言で言うと、

自主的に勉強ができるということです。

 

誰に言われなくても予習・復習ができる。

しかも勉強の仕方を知っている

 

これは非常に重要です。

 

自主的に、効率よく、

毎日決まった時間勉強を続けることができる。

これができないと、

たちまち下位グループに陥ってしまう可能性があります。

 

「幼い」とは

 

難関校がなぜ偏差値で入学者を切るのか。

 

それは、

ある程度のことは自分でできるだろうとの

期待値なのです。

授業の進度について行けますというだけではなく、

それ以上のことを期待しての、

あの高い偏差値なのです。

 

中学受験に関する著書を読んでいると、

必ず「幼い」という文字を目にすると思います。

「幼い子は中学受験に向かない」とか、

そんな風に表現されているのではないでしょうか。

 

「幼い」とはどういうことなのか。

 

出題の深意が理解できない、

そういった意味での「幼さ」もありますが、 

私は先ほどから書いている

「自主的に勉強ができない」とイコールだと思います。

「自己管理ができない」とも同じです。

 

それは今だからできないのか、

この先もできないのか、

それとも

成長と共にできるようになるのかは未知数です。

誰にもわかりません。

 

それだけに、

すでに自己管理ができている集団の中に

我が子を入れてしまっていいのかどうか、

慎重に考える必要があるのです。

 

自己管理ができる2つのタイプ

 

自己管理ができる人にもタイプがあり、

大まかに分けると次の2パターンではないでしょうか。

 

➀短期集中型の人

②淡々と勉強する人

 

短期集中型の人

 

例えば、

中学生の間は部活動に熱中し、

高校からは勉強に熱中するというタイプの人です。

スポーツ部ではよく聞く話です。

 

頭の切り替えが早いと言いますか、

「しなければ」と思えばさっと切り替え、

次の事に集中できる。

感情を引きずらないんでしょうね。

 

高校2年まで遊んでいても、

受験に集中したら東大に行けた、などと言うのも、

こういった集中型の人かもしれません。

 

淡々と勉強する人

 

私にはもっとも理解しがたいタイプの人達です。

 

このタイプの人は、

とにかく毎日必ず勉強する人です。

やりたいことがあろうとなかろうと、

勉強だけは毎日する。

 

例えば、

野球に熱中していて毎日練習を頑張っている。

へとへとになるほど練習した後でも、

家に帰ったら必ず勉強する。

こういう人は

高3の夏まで試合に出てたりします。

 

親としては、

こんなに羨ましいことはありません。

「<勉強しろ>と言われた事がない」、

なんていうのも、こういうタイプの人でしょうね。

 

京大からプロ野球入りし、

引退後は三井物産に入社した田中英祐さんが

まさしくこういう人でしょう。

どんなに疲れていても、

勉強だけは毎日したそうです。 

ただ、あのずば抜けた優秀さは

それだけではないと思いますが…。

 

さてこの2パターンの人々。

この人たちは

「難関」と言われる学校に向く人達です。

 

特に「淡々と勉強する人」なら、

どこに行っても大丈夫。

学校はほぼ関係ないでしょう。

どの道を辿っても、

満足のいく結果を残してくれると思います。 

 

自己管理のできない人

 

宿題はするが”やりっぱなし”でほおっている。

自分の苦手箇所を補強しようという気がないか、

もしくはその方法がわからない。

 

時間で打ち切ることが苦手で、

好きなことをズルズルとし続けてしまう。

 

受験時期になっても

自分に合った勉強方法がわからないままで、

なんとなくおざなりな勉強を続けてしまう。 

 

こうした、

誰かに厳しく管理されないと上手くいかない人たち

我が子にも、こういう要素があります。

 

この手の子を動かすには、

モチベーションが必要です。

 

やる気の種はなんでもいいのです。

将来の夢でもいい、

女の子にモテたいでもいい。

 

何か自分の中に

強烈なモチベーションが発生したら

勉強をし始める。

 

ところが、

このモチベーションというものは偶然に沸き起こるもので、

人為的に起こせないのが厄介なところなのです。

 

「やる気スイッチ」は

本人が押すしかないのです。

 

もし、やる気がOFFのまま

高校の3年間が過ぎてしまったら最悪です。

 

溜まる親の心労、

何とかしようとお金だけがやたらと出て行き、

後には虚しさだけが残るという、

悪夢としか言いようのない事態になります。

(我が家がまさにこれです。)

 

はっきり言って、

こういう子の場合、

勉強も受験も「賭け」になります。

 

難関中学に進学してみるか、

それとも面倒見の良い中堅ランクの私立中学に行くか。

はたまた地元の公立中学に行くか。

 

いずれにしても

結果がどうなるかは予測不能です。

 

環境は大事です。

でも環境を整えたから万全だ、とはならないのがこのタイプ。

非常に厄介なんです。

 

このような状態の子が、

難関中学に合格するのか?と

疑問に思うかも知れません。

ところが、

小学生の時は、

たまたまモチベーションが上がって

合格してしまうということがあります。 

 

小学生はまだまだ素直で親の言う通りですから、

少しでも本人にやる気があれば、

後は何とかなってしまうのです。

 

難関中学は誰のためのものなのか 

 

偏差値が高くなればなるほど、

自己管理ができる子が多くなります。

 

学校はその中でも、

上位の生徒を中心に考えるので、

きめ細かな対応や、

面倒見の良さと言ったものは

まず無いと思っておいた方が賢明です。

 

彼らは十分に自己管理ができます。

そういう子にとっては、

きめ細かな面倒見の良さは、

かえって邪魔になるのです。

 

難関・中高一貫校という所は、

そういう人たちのためにある学校なのです。

 

お子さんは自己管理ができますか?

毎日、自主的に勉強ができていますか?

  

これができないにも関わらず進学してしまうと、

入学後の6年間、

親がつきっきりで勉強の面倒を見ることになります。

 

塾に関しても大変です。

中高一貫校向けの塾は数が少ないですから、

家庭教師か個別指導になります。

精神的にも金銭面でも、

中学入試の状態が延々と続くことになるのです。

 

しかもそこまでしても、

結果がどうなるかはわかりません。

 

あなたはこの状況に耐えられますか?

 

ではどうしたらいいのか?

 

中学受験を始めると、

つい親の方に熱が入ってしまい、

もっと上に、

もっと高偏差値の学校へと気持ちが動いていきます。 

 

一種の競争ですから仕方がないのですが、

もしお子さんが「自己管理ができない子」だった場合、

少し立ち止まって考えてほしいのです。

 

中学受験の目的は何ですか?

もしそれが

「大学受験に有利だから」というだけなら、

難関中学に拘る必要はありません。

 

もっと言うなら、

私立中学に拘る必要もないかもしれません。 

周りの優秀さに嫌気がさすタイプの子なら尚更です。

 

大学受験を迎える前に

受験で無理をさせてはいけません。

 

「受験」だけで言うならば、

一番大事なのは大学受験です。

ここに至るまでに無理は禁物です。

子どものエネルギーを

削いでしまってはダメです。

 

ただでさえ動かない子です。

中学受験、大学受験と、

そう何度も全速力で走れるわけがありません。

しかも6年間と言う間が空きます。

その間に、

完全に止まりきってしまう恐れもあるのです。

 

学校の勉強や受験のシステムに向かない子には、

走る期間をできるだけ短くしてあげることです。 

 

小学校と中学校の前半までは決して無理をさせず、

高校入試をスタートに、その後の3年間だけ全力で走る

 

高校受験でも無理をしてはいけません。

進学先は、

面倒見の良い、

中堅クラスの私立高校がいいと思います。

 

地域のトップ校や

難関私立高校を目指す必要はないのです。 

そこもやはり、

難関私立中高一貫校と同じ環境なのですから。

 

結局はギャンブル 

 

ただ何度も言いますが、

このタイプの子は予測が不可能です。

 

「これで大丈夫だ」と決して思わないこと。

満足のいく結果にならないかもしれないと、

常に覚悟をしておくことが必要です

 

これはギャンブルなんです。

 

勝つか負けるかは運しだい。

「こうしたらこうなる」方式は適応できない子なんです。

 

「宝くじ、当たればいいなぁ」

それくらいの気持ちでいたほうが、

親の精神衛生には良いのだと思います。

 

宝くじは買わなければ当たりません。

一度は買ってみましょう。

後は野となれ山となれ。

気楽な気持ちで、見守るしかありません。 

 

自分ができなかったことを人に勧めるのは

気が引けますが、

さまざまな後悔の残る今、

中学受験で

あんなに無理をさせることはなかったと、

心底そう思うのです。

 

これから受験をされるご家庭が、

競争に流されることなく、

冷静な判断をされることを願っています。